要約筆記のあり方について

難聴者の研究をするようになってから、要約筆記者対象の講習や研修の仕事もいただくようになった。
現場で活動する要約筆記者の方々の考えをうかがうにつれ、
「要約筆記=変更・省略・脱落が多い=利用者の知る権利を奪っている」
とも言い切れないんじゃないかと思うようになってきた。

「書ききれないから要約する」のではなくて、もっと積極的に「利用者の理解を促すために要約する」も
あっていいのではないかと思います。
話されたことをそのまま文字に起こしただけでは理解が難しい場合があり、整理・要約した伝え方のほうが
理解できる場合もあるのではないかと。
たとえば…
・利用者側で複雑な文章を理解する能力が落ちている場合(高齢者、知的障害、高次脳機能障害など)
・話者の側でわかりやすいor整理された話ができない場合(考えながら話していたり、話すのが下手だったり)
・日本語を聞いて理解する力が充分でない場合(外国人、難聴者など)

そう考えると、難聴者以外にも要約筆記サービスを活用して恩恵を得られる人が出てきそうです。
もちろん、どんなかたちでも全部を知りたいという方もいるだろうから、ニーズによって「話されたものそのまま」か「要約・整理されたもの」のどちらかを選べるようになればよいと思います。